医療機器は人体に直接的な影響を及ぼすおそれがあるため、修理を事業として行う場合には、専門的な知識や技能を有していると認められる必要があります。
さらに、どの範囲の作業までを「修理」とするのかについても、法律によって定義づけられています。
今回の記事では、「医療機器と修理区分」をテーマに解説します。
修理の定義や許可、修理区分など、医療機器の修理に必須の知識をまとめているので、ぜひ参考にして下さい。
【1】医療機器の修理の定義とは?
医療機器の修理とは、故障・破損・劣化等のある箇所を、本来の状態・機能に復帰させることです。薬食機発第0331004号によってそのように通知されました。
修理の定義には、「範囲」が定められています。
清掃・校正(キャリブレーション)・消耗部品の交換といった保守点検は、修理に含まれません。
一方、医療機器の仕様変更は修理の範囲を超えているため、医療機器製造業許可が必要です。
参考:薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律等の施行に伴う医療機器修理業に係る運用等について(厚生労働省)
医療機器の修理に必要なのは「医療機器修理業許可」
医療機器の修理を事業として行うためには、事業所ごとに「医療機器修理業許可」が必要です。許可の有効期間は、5年間です。
詳細は下段で解説しますが、医療機器は全部で18種類の区分に分類されています。医療機器の修理を行うには、まず該当する区分の許可を取得する必要があります。
【2】医療機器の修理区分とは?
医療機器の修理区分は、第一から第九区分まで、全部で9種類に分類されています。
これらの修理区分は、すべて「特定保守管理医療機器(特管)」「特定保守管理医療機器以外の医療機器(非特管)」の2種類に分かれています。
そのため、医療機器の修理区分は、9区分×2種類=合計18種類です。
例)
【医療機器の種類:特管/非特管】
画像診断システム関連:特管第一区分/非特管第一区分
「特管」と「非特管」は異なる区分のため、どちらも修理したいと考えている場合は、両方の許可を取得する必要があります。
ちなみに、医療機器の製造業者自らが製造した製品を修理する場合、この許可は必要ありません。
医療機器の修理区分 一覧と具体例
【区分:内容/機器の具体例】
第一区分:画像診断システム関連/X線装置、CT、MRI
第二区分:生体現象計測・監視システム関連/エコー、心電図、血圧計
第三区分:治療用・施設用機器関連/滅菌器、人工呼吸器
第四区分:人工臓器関連/透析装置、内臓機能代用器
第五区分:光学機器関連/眼科機器、内視鏡
第六区分:理学療法用機器関連/リハビリ機器
第七区分:歯科用機器関連/歯科用機器全般
第八区分:検体検査用機器関連/血液・尿などの分析装置
第九区分:鋼製器具・家庭用医療機器関連/メス、家庭用電気治療器
医療機器の修理区分 責任技術者になるには?
医療機器修理業許可を取得するためには、事業所ごとに「責任技術者」を置く必要があります。
責任技術者は、医療機器の修理の管理や、従業員・構造設備などの監督を行います。前段で解説した修理区分に応じて許可を取得します。
責任技術者を続けるためには、毎年「継続研修」の受講が条件です。
ここでは、「特管」「非特管」それぞれの責任技術者になるための資格要件について解説します。
(1)特定管理医療機器(特管)の修理業者
「特定管理医療機器(特管)」の修理業者になるための資格要件は、以下の通りです。
(1)医療機器の修理に関する業務に三年以上従事した後、厚生労働大臣の登録を受けた者が行う基礎講習及び専門講習を修了した者
(2)厚生労働大臣が上記の者と同等以上の知識経験を有すると認めた者。
(2)特定管理医療機器以外の医療機器(非特管)の修理業者
「特定管理医療機器以外の医療機器(非特管)」の修理業者になるための資格要件は、以下の通りです。
(1)医療機器の修理に関する業務に三年以上従事した後、厚生労働大臣の登録を受けた者が行う基礎講習を修了した者
(2)厚生労働大臣が上記の者と同等以上の知識経験を有すると認めた者。
まとめ:医療機器修理業許可 取得前には必ず「修理区分」をよく確認して
医療機器の修理を事業として行うためには、医療機器修理業許可が必要です。
この許可は、「修理区分は全18種類ある」「区分ごとに許可が必要である」という部分を誤解されやすいので、注意して下さい。
例えば、同じ第一区分であっても、「特定管理医療機器(特管)」と「特定管理医療機器以外の医療機器(非特管)」は異なる種類として分類されています。
一つの許可でもう一方も兼ねられるわけではないので、注意しましょう。
また、取得しようと考えている医療機器修理業許可の区分が正しいかどうかも、必ずよく確認して下さい。第一区分の許可では、第九区分の医療機器の修理はできません。
医療機器は人体の健康に直接的に影響するため、定義や許可について法令で細かく定められています。心配な場合は、都道府県の情報や専門家のアドバイスなどをよくチェックしながら進めることをおすすめします。
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