多くの医療機関に設置されているCTとMRIは、医療関係者だけではなく、患者さんたちにとっても馴染み深い診断機器の一つです。ですが、外観や撮影方法が似ているため、どこが異なるのかわかりづらい人もいるかもしれません。
今回の記事では、「CTとMRIの違い」をテーマに解説します。撮影方法や得意分野、それぞれのメリット・デメリットといった様々な観点から、両者の違いを紹介します。
また、CTとMRIは部位によって撮影に適した機器が異なります。四ヶ所に分けて紹介するので、ぜひ参考にして下さい。
【1】CTとMRI おおまかな違いや使い分け方とは?
CTとMRIは、どちらも体内の様子をスピーディーに撮影できる診断機器の一種です。大きな役割は同じですが、撮影方法や使い分け方などはかなり異なります。
まずは、CTとMRIそれぞれのおおまかな違いについて押さえておきましょう。
CTとMRIの違い(1)撮影方法
CTとMRIは、「撮影方法」が異なります。
CTは、「Computed Tomography:コンピュータ断層」を省略した名称です。X線を使用し、体内の様子を断面像として撮影します。
MRIは、「Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像」を省略した名称です。MRIから照射される電磁波と生体内の水素原子を利用して、断層像を撮影します。
CTとMRIの違い(2)使い分け
部位や疾患などによって、CTとMRIのどちらを撮影に用いるのかを選択します。ごく一部ですが、よく使われる疾患・症状は下記の通りです。
【CT】
部位:肺・腹部・骨
疾患・症状:肺がん・肺炎、呼吸器(肺・気管)、腸炎・腸閉塞、緊急検査など
【MRI】
部位:頭部・腹部・骨盤部
疾患・症状:脳梗塞・脳動脈瘤、靭帯、子宮・卵巣、前立腺・膀胱など
【2】CTとMRI メリット・デメリットとは?
CTとMRIには、それぞれメリット・デメリットがあります。ここでは、特に共通していない部分を中心に解説します。
(1)CTのメリット・デメリットとは?
【メリット】
・短時間で広範囲を撮影できる(10~15分程度)
・骨や肺の内部構造がクリアに撮影できる。
・空間分解能に優れているため、細かい部分まで撮影できる。
・体内に金属が入っていても撮影できる(ペースメーカーや植込み型除細動器(ICD)は、機種によって撮影不可)
・騒音や閉塞感が少ないため、閉所に恐怖を感じる人でも撮影しやすい。
【デメリット】
・X線を使用するため、微量ではあるが被ばくする。
・コントラストをつけるために、造影剤を使用する場合もある。
(2)MRIのメリット・デメリットとは?
【メリット】
・X線による被ばくがない。
・組織分解能に優れているため、組織や病変とのコントラストがくっきり撮影できる。
・筋や靱帯といった軟部組織構造がクリアに撮影できる。
・造影剤を使用しなくても血管を撮影できる。
【デメリット】
・撮影時間が15~60分と比較的長い。
・装置が狭いうえに騒音が大きく、撮影時間も長いため、閉所恐怖症の方や安静を保てない方は撮影しにくいケースが多い。
・体内にペースメーカーのような金属が入っていると撮影できない。
【3】CTとMRI よく用いられる機器を部位ごとに紹介
部位ごとに、CTとMRIどちらのほうが撮影に適しているのかについて解説します。
(1)頭部
頭部には、MRIを使われるケースがほとんどです。造影剤を使わなくてもクリアに撮影できるため、脳梗塞や脳動脈瘤をはじめとする大半の頭部の撮影に用いられています。
CTよりも頭部を正確に撮影できるので、スクリーニング検査の選択肢として挙げられることが多い傾向です。
(2)肺
肺には、CTを使われるケースがほとんどです。CTは体の断面図を撮影できるため、他の部位によって肺が隠れてしまうことがありません。
そのため、小さな肺がんや肺野病変の有無なども発見できます。
(3)腹部
腹部には、CTとMRIが同程度使われています。
CTは、MRIよりも細かく撮影できます。特に、胆石や腎結石などの石灰化の撮影には、CTのほうが適しています。また、検査時間が短いため、緊急時の検査にも最適です。
MRIは、CTよりもコントラストがくっきりしているため、腫瘍や腫瘤などに適しています。
(4)骨盤部
骨盤部には、MRIが使われるケースが多い傾向です。
MRIは濃度分解能に優れているため、前立腺や膀胱、子宮、卵巣などの撮影に適しています。
まとめ:CTとMRIの違いは「検査する部位」も大きなポイント
CTとMRIは、撮影方法やメリット・デメリットといった様々な点が異なります。また、それ以外にも「検査する部位」についても大きな違いがあります。
肺にはCTを、頭部と骨盤部にはMRIを用いることが一般的です。腹部は確認したい内容などによって使い分けています。また、それ以外にも、持病の有無や、検査に対する不安なども参考にして、医師は撮影方法を選択しています。
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