一般撮影装置（単純撮影装置）は、医療従事者や患者さんにとって最も身近な検査機器の一つです。とても短い撮影時間で有益な情報を得られるため、全身の検査に用いられています。
今回の記事では、そんな「一般撮影装置」をテーマに解説します。
仕組みやメリットといった基本情報だけではなく、医療機関でよく使用されている種類についても取り上げています。
ぜひ、新たな一般撮影装置を導入する際の参考にしていただけると幸いです。
一般撮影装置とは？
最初に、一般撮影装置の仕組みや、医療機関に設置するメリットについて解説します。
一般撮影装置（単純撮影装置）の仕組み
一般撮影装置（単純撮影装置）とは、通称「レントゲン」「X線撮影」と呼ばれる撮影装置の総称です。全身の撮影に用いられますが、その中でも特に頻度が高いのは、胸・腹部撮影と骨撮影の2種類です。
一般撮影は、人体にX線（放射線）を照射し、透過したX線の強弱をフラットパネルディテクタ（FPD）という平面検出器で読み取り、画像化します。
現在はデジタル方式が主流なので、高精細な画像をすぐに確認することもできます。
造影剤を使わず、10分ほどの撮影時間で多くの情報を得られるため、緊急時や健康診断などにも有用です。
一般撮影装置を設置するメリットとは？
一般撮影装置の最大のメリットは、短時間で効率的な検査ができることです。
所要時間が10分程度と短いにもかかわらず多くの情報を得られるため、緊急時や診断の第一段階といった、身体の状態を迅速に把握しなくてはならない場面でよく使われます。
また、一般撮影装置はとても種類が多く、全身をくまなく撮影できることもメリットです。
さらに、一般撮影装置で使われているX線は、CTよりも放射線の量が少ないため、被ばくに不安を感じている患者さんにも利用してもらいやすいこともメリットです。
一般撮影装置 医療機関で活躍する主な種類とは？
一般撮影装置の中でも、特に医療機関で使われることの多い種類について紹介します。ぜひ導入を検討する際の参考にして下さい。
【1】骨X線撮影装置（骨・関節・骨密度測定）
骨のX線撮影装置は、主に骨折や脱臼、関節の状態、炎症や腫瘍の状態などを把握するために用いられます。一般撮影装置の中でも、特に使われる頻度が高い検査装置の一つです。
それ以外に、骨密度を測定できる装置もあり、主に骨粗鬆症の検査に用いられています。
【2】乳腺用X線装置（マンモグラフィー）
乳腺用X線装置（マンモグラフィー）は、乳がんを早期発見するために用いられます。現在検査でよく使われているのは、乳房を立体的に撮影できる3Dマンモグラフィーです。
3Dマンモグラフィーなどの乳腺用X線装置は、乳腺組織周辺を鮮明に撮影できることがメリットです。
その一方で、微量とはいえ被ばくするため、妊娠中には受けられないデメリットもあります。また、高齢の方の中には、被ばくを恐れるあまり、乳がんの自覚症状があってもなかなか検査を受けようとしない患者さんがいることも事実です。
年々患者さんの年齢層が上がっている乳がんは、高齢の方にこそ検査を受けてほしい病気の一つです。そのため、その点も考慮しながら機種を選ぶことをおすすめします。
【3】ポータブルX線撮影装置
ポータブルX線撮影装置は、小型化して携帯しやすくなった検査装置です。女性一人でも持ち運びできるので、近年は複数台導入している医療機関が増えています。
大型で重量のある据え置き型はなかなか動かすことができないため、撮影室まで患者さんに移動してもらう必要があります。ですが、安静を要する患者さんの場合はそのような移動が難しく、検査が負担になっていました。
ポータブルの撮影装置は、そのような状況を改善するために開発されました。
コンパクトですがスピーディーに画像を確認できるため、救急室や在宅医療、災害現場など、様々な場所で用いられています。
【4】歯科用X線撮影装置
歯科用X線撮影装置は、歯や顎、周囲の骨の状態などを撮影するために用いられます。主な種類には、3D撮影、パノラマ撮影、口腔内撮影などがあります。
まとめ：一般撮影装置は使いやすくて持ち運びできるポータブルもおすすめ
一般撮影装置（単純撮影装置）は、短時間でスピーディーな画像撮影ができるため、全科で使用されている検査機器です。すぐに画像を確認できるメリットを活かし、緊急時や診断の第一段階などでも大きな役割を果たしています。
さらに、近年はポータブルX線撮影装置の技術向上がめざましく、軽量・高性能な機種が立て続けに販売されています。ワイヤレスも多いので、災害対策用に導入している医療機関が増えています。
ポータブルのX線撮影装置は低価格なので、据え置き型を購入するのが難しい場合は、ぜひそちらを検討してみてはいかがでしょうか。
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