「入札」とは、民間企業が自治体からの仕事を受注する際に行われる契約方式の原則のことです。中古医療機器業者が公的な病院から医療機器を買い取る際にも、この入札が行われることが一般的です。
今回の記事では、「中古医療機器の入札」をテーマに解説します。
入札の定義や参加の流れについて紹介するので、自治体ビジネスに関心がある方はぜひ参考にして下さい。
【1】中古医療機器と入札
最初に、中古医療機器の売買の際に行われる入札について解説します。
中古医療機器の「一般競争入札」とは
民間企業が官公庁や地方自治体からの仕事を受注する場合、「入札」という原則に基づいて行われることが一般的です。
中古医療機器業界の場合、公的な病院と医療機器の売買をする際に「一般競争入札」が行われることが一般的です。
自治体が公示した入札情報をもとに、最も優れた条件を提示した入札者と契約する方式です。
一般競争入札のメリットは、公平性や透明性などを確保できることや、参加資格さえあれば実績がなくても参加できること、案件数の多さなどです。自治体ビジネスの入札方式として最もよく行われています。
ですが、その分競争率が高く、価格競争の結果利益が少なくなりやすいことがデメリットでもあります。
指名競争と随意契約
一般競争入札のほかにも、2種類の方式があります。
「指名競争」は、発注者があらかじめ入札に参加できる企業を指名し、その中だけで入札を行う方式です。談合や癒着が起こりやすいため、自治体ビジネスではほとんど行われません。
「随意契約」は、入札を行わずに、発注者が選んだ企業と直接契約を締結する方式です。公平性・透明性に欠けるため、近年は行われなくなってきています。
【2】中古医療機器と一般競争入札の流れ
中古医療機器業者が一般競争入札を行う場合の、流れや注意点について解説します。
(1)事業者登録
一般競争入札に参加するためには、最初に事業者登録を行います。登録の種類は、下記の通り2種類あります。
中央省庁(国):一度の手続きで、中央省庁の全案件の参加資格を得られる。
地方自治体:自治体ごとに事業者登録が必要。それぞれ登録方法も異なる。
企業の規模・営業年数・自治体ビジネスの実績:不問
登録料:無料
登録方法:書類、オンライン
どのような企業でも基本的には事業者登録できます。ですが、下記の条件に当てはまる場合は、一般競争入札には参加できません。
一 当該入札に係る契約を締結する能力を有しない者
二 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
三 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第三十二条第一項各号に掲げる者
それ以外にも、競売・入札の不正や、正当な理由がなく契約を履行しなかったなどの条件に当てはまる場合、3年以内の期間を定めて一般競争入札には参加できません。
参考:地方自治法施行令167条の4(一般競争入札の参加者の資格)(G-GOV)
(2)入札公告の確認
事業者登録と並行して取り組んでおきたいのが、入札する案件を探すことです。自分が参加でき、かつ落札できそうな案件を選びましょう。
案件情報は、入札の資格条件や日時などが掲載された「入札公告」で確認して下さい。
一般競争入札の入札公告は、自治体のホームページや有料の検索サービスを利用して探すのが一般的です。
中古医療機器の場合、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)や厚生労働省のほか、都道府県や医療機関のホームページなどもチェックしてみて下さい。
参考:調達情報(PMDA)
(3)申込み
入札に参加する案件を決めたら、申込むための書類を準備します。
必要な書類は、案件によって異なります。「入札説明書(仕様書)」に記載されているので、隅々まで確認しましょう。
(4)落札
落札の決定方法は、大きく分けて2種類です。
「最低価格落札方式」とは、「予定価格」の範囲内で最低価格を入札した者を落札者とする方式です。自動落札方式とも呼ばれます。
予定価格とは、入札前にあらかじめ設定されている価格の範囲のことです。それを上回っても下回っても落札はできません。
受注希望者には公表されないことが一般的なので、予測する力も重要になります。
「総合評価落札方式」とは、価格と価格以外の項目を総合的に評価したうえで落札者を選定する方式です。近年、一般競争入札ではこの方式が増えてきています。
価格以外の項目の基準は案件によって異なるため、事前に必ず確認しておきましょう。よくある例には、下記が挙げられます。
- ・実績
- ・技術力、ノウハウ
- ・独創性
- ・事業の安全性、リスクマネジメント
- ・地域貢献度
(5)契約
最後に、発注機関の指定する方法で契約を締結します。契約内容は、入札説明書に提示されていることが一般的です。
まとめ:中古医療機器と入札 入札説明書をよく確認しよう
入札の参加資格や必要書類、契約内容といった重要な情報は、入札説明書に明記してあります。熟読することで、疑問を解消できるだけではなく、概算の見積もりにも役立つので、ぜひ活用しましょう。
中古医療機器業界では、公的な病院が中古医療機器売買の一般競争入札を行う案件が一般的です。関心のある地域の情報はこまめにチェックすることをおすすめします。